白鯨上中下(再読)

『白鯨』メルヴィル

米文学者の間では、米文学史上最高傑作と言われている作品。
海洋冒険小説ということになりますが、その枠に収まらない徹底した描写の中に、並々ならぬ血流を感じます。
無駄な場面が多く(章立てが百二十章くらいある)、物語上ほとんど関係ない人物まで名前を持ち、文章は読みにくく、話のテンポも悪い。情報は雑多に示されるだけで繋がりはないし、途中から語り手の視点すらバラバラになり、誰が語り手なのか、いわゆる「神の視点」なのかもわからなくなります。
それでも、米文学史上最高傑作、読んだら、「なるほどね」、ときっと思うよ。